中絶薬に伴う痛みと出血 ー 2021年にWoW から支援を受けた日本人女性の中絶薬服用体験

加藤雅枝 (Masae Kato, PhD, WoW researcher)

レベッカ・ゴンパーツ (Rebecca Gomperts, MD, MPP, PhD, WoW founder)

まとめ

  • Women on Web (WoW)は2005年に設立されて以来、世界中の、望まぬ妊娠をした人をオンラインで遠隔から支援する活動をしている。中絶薬は、世界保健機関(WHO)の必須医薬品にリストされている安全で効果のある薬である。世界保健機関は、妊娠12週までなら、自宅などで中絶薬を使って女性が自分で中絶をすることができると認めている。(https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/332334/WHO-SRH-20.11-eng.pdf)
  • WoWは、支援を受けた全ての女性にアンケートを送っている。2021年1月から12月にアンケートに答えた日本人女性は62人。そのうち46人が中絶薬を服用し中絶を行った。
  • 46人のうち10人が、中絶中、通常の月経より重い出血あるいは痛みを経験し、かつその出血や痛みが予期していた以上だったと答えている。10人とも、24時間以内に出血も痛みも徐々に治まったと答えている。女性の実際の経験から、鎮痛剤で痛みが和らぐことや、つわりなどで吐き気がある場合、鎮痛剤の座薬が効を奏することが分かった。
  • 62人全員が、望まぬ妊娠をしていると知ったときに、「WoWと中絶薬服用の選択が存在していたことに非常に感謝している」と答えている。62人中57人がWoWを他の人にも勧めると答えている。勧めないと答えた5人のうち2人は中絶そのものをためらい、妊娠を継続している。あとの3人については本文で説明する。
  • 中絶中予期していたより重い出血や、痛みがあってもじきにおさまるものであり、中絶薬を服用した女性の満足度は非常に高い。
  • 中絶薬を服用した46人のうち9人が中絶後、病院に行っている。痛みや出血多量が理由ではなく、中絶が成功しているか確認するためであった。中絶薬を使った中絶の症状と、自然流産の症状は非常に似ているため、病院に「薬を服用した」と伝えた人はいない。また、病院側も、症状を診て自然流産と判断している。9人とも、病院は自然流産として適切で親切な対応をしてくれた、と答えている。
  • 結論1 日本の女性は、正しい情報を提供された上で、中絶外科手術・中絶薬服用の選択を自分自身でできるべきである。訓練された医師による中絶外科手術が安全であることはWoWも認識しているが、中絶薬の選択もあるべきである。
  • 結論2 中絶を取り巻く日本の現行法制度・医療制度は、女性のニーズに応えられていない。
  • 結論3 今日の日本メディアが報ずる中絶薬に関する情報は、WoWが日々接する女性の実体験から程遠い。この報告は、女性の中絶薬服用体験を伝えることを目的としている。
  • WoW スタッフの語りも参照。https://www.womenonweb.org/en/page/21573/www.womenonweb.org-に支援を求める日本人女性の声

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